はじめに

ホルスヘレシー(2022年版ゲーム)におけるディーモン勢力は、Daemons of the Ruinstormとしてまとめられています。[1] 2025年6月時点、Warhammer communityのダウンロードコーナーにPDFありまた、独立した勢力ではない『縛り付けられたディーモン』についてもThe Burning of Ohmn-Mat にまとめられています。[2] 同様にダウンロードコーナーにてPDF配布

サターナインボックスが発表された以上、現在PDFで公開されている内容のうちステータス部分は新しい版では使えなくなるでしょうが、設定部分は大きく変更はないと思います。

今回は、その中で、ディーモンが湧き出る混沌の領域「Ætheric Dominion」について書いていきます。

8つの魔界――Ætheric Dominion

定命の人間は――その貧弱な理解力のために――ワープの存在をすべて同一の軍勢、つまり、すべてが『歪みの怪物』と表現されるようなものであると考えがちですが、実際は、混沌の領域はそれぞれが独自の目的と欲望を持ついくつもの領域に分かたれており、それぞれの領域に属する存在は各々の特徴を備えています。これらの領域をÆtheric Dominion、エーテル支配領域と呼びます。

もちろん、それぞれの支配領域がいかなるものであるかを理解することは、ディーモンの召喚者にとっても至難の業であり、おおよそこのようなものではないかと推測するしかないのが実情です。つまり、現在判明している情報も、完全に混沌の世界を明確にするものではないということです……が、混沌というものはそういうものではありませんか?

Encroaching Ruin

押し寄せる荒廃の領域は、正気を失わせる恐怖の領域です。それらは破壊を渇望し、定命の者が運命づけられた終わりを迎え、忘れ去られるべく、すべてを塵と化します。

ネームドキャラクターであるサムスがこの領域に属します。

Heedless Slaughter

向こう見ずな虐殺の領域は、戦いの中の憤怒と血まみれの喜びを体現する領域です。この魔界から這い出る者の目的は戦いと死であり、血が流れれば、その理由は問いません。血を流す者が、あるいは頭蓋骨を重ねる者が、敵であろうと己であろうと。

大逆の後の世界においては、コーンとして知られる神の勢力に近しい領域となります。

ホルスヘレシーのキャラクターとしては、カ=バンダがこの領域に属します。

Formless Distortion

形なき歪みの領域は、混沌の真の本質を示す領域です。際限なき変化を続け、触れるものすべてを捻じ曲げる、まさに歪みそのものです。

この魔界に属するものは、物質世界に顕現するときでさえ、非物質的な肉と骨の渦巻く塊のようになります。

なにを目的としているかもよくわからない、歪みからの侵略者たちです。

Putrid Corruption

腐敗の領域は、物質も魂も腐敗させる領域です。死による解放はなく、勝利や敗北とは無関係に、腐敗の魔界からもたらされる苦しみは物質界を犯します。

病と瘴気にまみれた腐敗の魔界は、ナーグル尊父の恩寵という希望もなく、ただただ伝染していきます。

ホルスヘレシーのキャラクターとしては、コルバックスの属する領域です。

Ravenous Dissolution

飽くなき崩壊の領域は、自らをも憎む混沌の領域です。混沌は混沌であるが故に理性で理解することを拒みます。この魔界から来るものは、混沌でありながら、混沌を破壊し、歪みを崩壊させることを望むものです。

かつて別の世界でマラルと呼ばれた『混沌を憎む混沌』の神に近しいと思われる領域です。

Rapturous Sensation

歓喜の領域は、狂気の金切り声を吠えたてながら、苦しみと恐怖をむさぼり食らうために現実世界に侵入してきます。戦争がもたらすありとあらゆる刺激――定命の者には耐えがたい過負荷――を謳歌し、目がくらむような閃光と耳をつんざくような爆発を楽しむ領域です。

ホルスヘレシーの時代には――宇宙的感覚では――生まれたてである、スラーネッシュ神の領域と考えられています。

Malevolent Artifice

邪悪なる機工の領域は、邪悪かつ破壊的な力を志向します。そのため、彼らは物質世界の存在が作り上げた人造物を利用します。彼らの宿った巨大な機械実体は、定命の者が創造しようとしたものを歪め果て、混沌の優位性を示す恐るべき存在となります。

いわゆるディーモンエンジンが属する魔界です。遥か後の世におけるヴァシュトールの顕現にもつながっているのかもしれません。

Infernal Tempest

地獄の嵐の領域は、生の混沌を物質界にもたらす変容と変動の領域です。この魔界から現れるものは、ワープの大渦を引き連れて物質界を混乱させます。彼らの周囲では歪みの嵐が巻き起こり、空気は非現実的な稲妻のはじける音で満たされ、大地はきらめく水晶の破片として捻じれて割れてゆきます。

ツェーンチ神の変容の相を示すであろう領域です。

終わりに

混沌の領域に存在する八つの魔界について見てきました。ホルスヘレシーにおいては、40K世界とは微妙に異なる混沌の世界があることが見て取れたのではないでしょうか。

これらの忌まわしき知識がゲームを楽しむうえでも参考になれば幸いです。

References

References
1 2025年6月時点、Warhammer communityのダウンロードコーナーにPDFあり
2 同様にダウンロードコーナーにてPDF配布