はじめに
ミニチュアゲームは、名前の通り、ミニチュアを用いて行われるゲームのため、ゲームに出てくるミニチュアには縮尺が存在します。
その縮尺について、何分の一というような表記方法もあれば、28㎜や40㎜といった表記もあります。後者の場合、おおよそのミニチュアのサイズそのものを指しています。[1] 場合によって、目線の高さだったり、頭頂までの高さだったりの差はある
ゲームズワークショップでメインと言えるWarhammer 40,000及びWarhammer Age of Sigmarは、一般的に28㎜スケールと言われています。これはミニチュアの大型化に伴い実態を示すものではなくなっていますが、おおまかには参考になる大きさです。
一方、現行商品でもAdeptus Titanicusのように異なる縮尺のものもあります。[2] タイタニカスは8㎜と言われているが、公式には表明されていない今回は、そうした比較的小縮尺なゲームについてまとめていきたいと思います。
今回は主に40K世界を舞台にしたものを取り上げます。Warmasterなど、ファンタジーものについては、また別記事を書こうと思います。
Adeptus Titanicus(1988)
Warhammer 40,000: Rogue Trader[3] 40Kの初版がリリースされた翌年の1988年、初代タイタニカスが発売されました。巨大な戦闘兵器タイタン同士の戦いを扱うゲームで、時代背景的にはFASA社のBattletechの人気に対抗するための展開ではないかと考えられます。
その後、White Dwarf 109(1989年1月)号にて歩兵と車輛のルールが追加され、ボックスセットとしてSpace Marine(1989)が発売されました。これは大逆期のマリーン同士の戦いを再現するゲームでした。
ここで歩兵が出てきますが、人間のサイズ的には6㎜というスケールとなります。
タイタニカスとスペースマリーンは互換性を持ち、両者を混ぜて遊ぶことも、単体で遊ぶことも可能でした。
この後、エルダーアーミー(タイタン含む)、スカットアーミー、ケイオスアーミー、ティラニッドアーミー、オルクアーミー、インペリアルガードなどがリリースされました。
また、さらに小縮尺の艦隊戦ゲームSpace Fleet(1991)から始まる艦隊戦ゲームがありますが、こちらは後の項目でまとめます。
Epic Space Marine(1991)とEpic Titan Legions(1994)
後にEpicとして総称される6㎜スケールゲームの第2版は、初版と同じく、マリーンを中心としたコアルールを収録したSpace Marineというボックスと、タイタンクラスの拡張ルールを含んだTitan Legionsという二つのボックスを中心としていました。
特にタイタンレギオンズはタイタンの中でも巨大なインペレータータイタンと、オルクの巨大兵器メガガルガントが含まれたことで人気があったようです。
また、1996年には28㎜サイズでは展開されていなかったエルダーのエクソダイトのミニチュアがカタログに掲載されました。
これらは実際には限定的にしかリリースされなかった模様です。
Epic 40,000(1997)
Epicの第3版は、これまでのようにルールと拡張セットというような形ではなく、Epic 40,000というルールセットとして商品展開されました。
大きな変更として、歩兵について、以前の版ではスクエアベース[4] 20mmの正方形を使っていましたが、横長のベース[5] 10x40mmに変更されました。
ゲームとしては、2版に対してルールの簡略化がなされ、ゲームのスピードアップがはかられていたようです。
ただし、この版は売上があまり芳しくなかったようで、徐々に公式サポートが手薄になっていきます。
Epic :Armageddon(2003)とEpic :Swordwind(2005)
Epicの第4版は最初に出たルールブックにちなんで、Epic :Armagedonと呼ばれることが多い印象です。
3版での不評が堪えたのか、4版のリリースに際してはプレイテストフォーラムが立ち上げられ、テストルールとそれに対するユーザーの声を聞くという、これまでになかったプロセスを経ました。
この影響や、インターネットでの情報共有の活発化などの時代背景もあり、ゲームズワークショップ本体のサポートが無くなった後も、ファンコミュニティが独自にゲームルールを整備し、アーミーリストのバランスを取り、最終的にはファンメイドの改訂版ルール[6] Net Epic:Armageddon等を送り出すようになったのも、この版の特徴です。
2000年代から10年代前半は、ゲームズワークショップが40KとAoS以外のスペシャリストゲームのサポートを減らしていく傾向があり、Epicもその例に漏れませんでした。
新製品のリリースはプラスチック及びメタルキットでは行われなくなり、フォージワールドのレジンキットとしていくつかの製品が出てくる形となりました。
プラスチックキットが入手できたのは、おそらく2008年頃までで、その後、2013年頃にはフォージワールド製品も入手が難しくなりました。
結果として、上述したように、40K世界の6㎜スケールのゲームはゲームズワークショップ公式からは姿を消し、ファンコミュニティによるアップデートが続いていくことになります。
Aeronautica Imperialis(2007)
上述したように、Epicのリリースはゲームズワークショップ本体からフォージワールドに移行しました。
この頃、Epicと同スケールの航空戦ゲームエアロノーティカが発売され、フォージワールドからも各種航空機がリリースされました。
Epicと同サイズでEpicのゲームでも用いることができたため、ミニチュアはEpicの一部として販売されていることが多かった印象です。
Adeptus Titanicus: The Horus Heresy(2018)
Epicがゲームズワークショップ本体から消え去って10年。なんと、30年の時を経て、タイタニカスが復活しました。
サイズこそ多少上がって、おそらくは8㎜スケールではないかと言われていますが、タイタン同士の戦いを再現するゲームという意味ではかつてのタイタニカスと同じコンセプトです。
ただし、今回は最初からタイトルにホルスヘレシーが含まれており、明確に大逆期の時代背景を持つことを主張しています。[7] このため、ケイオスマリーンやタウなどの大逆期以降の勢力は出てきにくいと考えられる
タイタニカスについては、2023年現在、ゲームズワークショップ本体、フォージワールド共にリリースが続いており、現行のゲームです。
40Kでは見たことも聞いたこともなかったタイタンも出てきており、注目のゲームです。
Aeronautica Imperialis(2019)
新しいタイタニカスと同スケールで、航空戦を扱う新エアロノーティカが2019年に発売されます。
タイタニカスと異なり、こちらは40Kを舞台として、タウなどの航空機もリリースされています。
2022年になって、ホルスヘレシーを舞台とするルールも発売されました。
艦隊戦 – Space Fleet(1991)からBattlefleet Gothic(1999)
1991年に、スペースフリートという40K世界を舞台とした艦隊戦ゲームがゲームズワークショップから発売されました。宇宙船のミニチュアで構成した宇宙艦隊同士の戦闘ゲームのため、当然ながらかなりの小縮尺です。
スペースフリート自体はあまり成功とは言い難い状況だったようですが、これがホワイトドワーフ誌でのサポートを経つつBattlefleet Gothicに引き継がれ、ルールブックの発売となりました。[8] バトルフリートゴシックは、ゲームズワークショップのサイトでPDFでも配布されていた
こちらも、スペシャリストゲームへのサポートが無くなっていったため、2013年頃には入手が困難となりました。
ただ、その後PCゲームが出ていたりしますから、宇宙艦隊戦そのものへの需要はあるのではないでしょうか。
なお、バトルフリートゴシックについては、復活予定はあるようですが、まだまだ先の話と思われます。
そして!!
2023年4月末に開催されたWarmaster Fest 2023において、意味深なティザー動画が公開されました。
そのタイトルは、Battle on New Scale。
提示されている動画からしても、40Kよりも大スケールでのゲームとは思えません。
果たして、これはタイタニカスに続いてのEpicの復活を意味するのか。それとも、まったく別のなにかなのか……。
新たな情報が発せられるまで詳細はわからないですが、実にわくわくさせられる状況だと思います。
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