はじめに

SF編では、40K世界を舞台としたものを取り上げたので、今回はファンタジーの世界が舞台となる小スケールのゲームを取り上げます。

ファンタジー世界での戦闘の舞台は、おおよそ陸か海の二種類になります。ゲームズワークショップもそれぞれの場所での戦闘を扱うゲームを出しており、今回の記事は、陸戦と海戦に大別してまとめていきたいと思います。

海戦ゲーム

Man O’ War(1993)

ウォーハンマーファンタジーバトルが出てから約10年後の1993年、ファンタジーバトル世界の勢力による海戦ゲーム、マノウォーが発売されます。

このゲームは、おおよそ20mmから50㎜程度の帆船やガレー、巨大海棲生物などの艦隊による海戦ゲームでした。

Plague Fleet(1993)とSea of Blood(1994)という拡張ボックスも発売され、当時のファンタジーバトルにおける主要勢力のほとんどが登場しました。[1] ウッドエルフのように海洋進出していないような勢力や当時は傭兵勢力だったオウガは除く

ただ、1995年頃には店頭から消え、1998年にはカタログからも落ちた模様です。

Dreadfleet(2011)

2011年に、Dreadfleetが発売されます。素晴らしい造形の帆船や鉄甲船や幽霊船が収められたボックスです。

ただ、これは1ボックスで完結のボードゲームであり、マノウォーの後継とは言い難かったように思います。

以後はゲームズワークショップで海戦ゲームは販売されていません。

陸戦ゲーム

Warmaster(2000)

ウォーマスター[2] 1993年に同名のゲームが出ているが、こちらはウォーマスターホルスの居場所を探し出すボードゲームで、一切関係ないは、10㎜スケールで、ファンタジーバトル世界の軍の衝突を取り扱うゲームです。

軍隊を構成する個々のユニットの強さよりも、戦場における将の指揮に重きを置いたテンポの良いゲームとして一部の人気を集めました。

ただし、SF編でも書いたようにゲームズワークショップ全体として、スペシャリストゲームの取り扱いを減らしていく方針だったため、だんだんとサポートが薄くなっていき、2013年以降は入手が困難になります。

Great Battles of Middle-earth: The Battle of Five Armies(2005)

ホビットにおける五軍の合戦をテーマとしたボックスセットが2005年に発売されますが、これはウォーマスターのルールに依拠していました。

ブリスターでの個別ミニチュア等の販売もありましたが、早々になくなり、ボックスもホビットの28㎜スケールの展開が始まる前の2012年頃には無くなりました。

Warmaster Ancients(2005)

ウォーマスターエンシェントは、ゲームズワークショップ本体の発売ではなく、Warhammer Historical Wargames[3] ゲームズワークショップの1部門BL Publishingのさらに下位部門の1つ。2010年に解散から出たルールセットです。ファンタジーバトル世界を舞台にしていないスピンオフです。

これは、ウォーマスターのルールを用いて、ヒストリカルゲームを行おうというものでした。当初のルールでは西暦初めころから1000年代初頭までの勢力をアーミー化していますが、後の拡張ルールでは中世の騎士も出てきます。

また、拡張ルールのWarmaster Medieval Armiesには多くの重要なルール改正が盛り込まれ、ウォーマスターエンシェントを事実上、ウォーマスターの第2世代とみなす捉え方もあります。

Warmaster Revolution(ファンメイド)

上述したように、ゲームズワークショップはスペシャリストゲームの取り扱いを減らしていく方針であったため、40K世界のEpic同様、2013年頃にはウォーマスターの公的なサポートは終了し、モデルも入手が困難になります。

しかしながら、Epic同様、熱狂的なファンはこのゲームの維持を図ります。

ウォーマスターのファンたちはコミュニティを形作り、ルールの改良とバランスの取れたアーミーリストの作成に努め、Warmaster Revolutionと言われるルールとアーミーリストを発表します。

これはウォーマスターエンシェントで取り入れられた改正要素と、コミュニティで練られたルール改訂を加えたもので、2023年現在では、多くのウォーマスターファンがこのバージョンを遊んでいるようです。

おわりに

ゲームズワークショップ関連に限っての話ではあるものの、巨大兵器が存在し、しかも、そのサイズが際限なく大きくできるSF世界と異なり、ファンタジー世界では巨大ユニットを使うゲームとしての小縮尺大規模ゲームはあまり出てきていない印象です。

しかしながら、大兵力を指揮するということに着目したウォーマスターは根強い人気を保っており、ファンコミュニティによる更新も続いています。

アプローチ次第ではヒット作が出るということの証左でもありますので、ゲームズワークショップが再びファンタジー世界での小縮尺大規模ゲームをリリースする可能性はあると思われます。

しかし、すでにタイタニカスが復活し、BFGもいずれはと言われているSF世界とは異なり、ファンタジー世界の小縮尺大規模ゲームについては、あったとしてもだいぶ先なことになりそうですね。

References

References
1 ウッドエルフのように海洋進出していないような勢力や当時は傭兵勢力だったオウガは除く
2 1993年に同名のゲームが出ているが、こちらはウォーマスターホルスの居場所を探し出すボードゲームで、一切関係ない
3 ゲームズワークショップの1部門BL Publishingのさらに下位部門の1つ。2010年に解散